2011 年 53 巻 6 号 p. 1600-1608
食道静脈瘤を合併する肝硬変症例の小腸病変について,カプセル内視鏡を用いて評価し,静脈瘤や肝予備能などの背景因子との関連について検討した.肝細胞癌の治療や静脈瘤の治療を目的に入院中の15例(平均年齢66.6歳,男/女;8例/7例,Child-PughA/B/C;8例/6例/1例,肝細胞癌合併8例)をLC群,同時期に検査した基礎疾患に肝硬変・門脈圧亢進症を有しない15例をcontrol群として比較検討した.全例でカプセルの滞留はなかった.LC群において,edema,erythema,telangiectasias,angioectasia like lesionsを有意に多く認めた.血管性病変をLC群の13例に認めたが(86.7%),小腸全域に多発していた症例は6例であった(40.0%).それらは食道胃静脈瘤や肝予備能との相関を認めず,食道胃静脈瘤出血の既往にのみ有意差を認めた.