日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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症例
多発性骨髄腫の胃病変に対してnarrow-band imaging併用拡大観察を行った1例
中西 宏佳金子 佳史山田 真也片柳 和義車谷 宏土山 寿志
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2011 年 53 巻 6 号 p. 1609-1616

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抄録

多発性骨髄腫の髄外臓器浸潤は,剖検例の約70% に認められ,肝臓,脾臓,リンパ節などの細網内皮系組織が好発臓器で,消化管浸潤例は少ないと報告されている.胃病変に対する内視鏡像の詳細な報告は極めて少ない.多発性骨髄腫の胃病変に対して白色光非拡大観察及びnarrow-band imaging併用拡大観察を施行し,その肉眼形態と病理組織像とを対比した.多発する発赤調微小扁平病変において,病理組織上は腫瘍の粘膜上皮下および粘膜上皮への浸潤増殖像が認められ,narrow-band imaging併用拡大観察所見では前者に血管拡張を伴う正常粘膜上皮が,後者に上皮構造の消失が認められた.これらは多発性骨髄腫の胃病変の初期像をとらえている可能性を考えた.

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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