日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
十二指腸カルチノイドの病態と治療
丸山 保彦渡辺 文利花井 洋行
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2011 年 53 巻 8 号 p. 1979-1990

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抄録

十二指腸は消化管カルチノイドの中で直腸,胃に次ぐ好発部位であり,近年小病変の発見頻度は増加している.カルチノイドは2010年WHOの神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumors : NETs)における分類でNET G1と定義された.十二指腸カルチノイドの多くは組織免疫染色でホルモン産生を認めるがホルモンによる症状を引き起こさないNon-functioning NETsで,gastrinoma(Zollinger-Ellison syndrome : ZES)等の症状を呈するものは一部である.緩徐に発育する一方,比較的初期からリンパ節転移を伴う症例もあり「癌もどき」とは言い切れない側面を持つ.明確な治療方針は確立しておらず,個々の症例において大きく個別化される傾向がある.治療に当たっては,腫瘍の大きさ,発生部位,細胞増殖活性,リンパ節転移や患者の耐術性等を考慮する必要がある.

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© 2011 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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