2012 年 54 巻 1 号 p. 11-18
【目的】われわれが胃のIIa様病変の診断に有用であると報告しているNBI Type分類が,胃腺腫と分化型腺癌の鑑別が必要な褪色調陥凹性病変に対しても有用であるかを検討する.【方法】2008年11月からの16カ月間に,当科にて通常観察及びNBI併用拡大観察を施行した症例の中で,生検Group IIIの褪色調陥凹性病変9例を対象とした.われわれが提唱するType分類を試み,切除標本の病理結果と比較した.同時期に観察しえた隆起型褪色調病変(生検Group III)59例との比較も行った.【結果】切除標本の病理結果は9例すべて高分化型腺癌.NBI併用拡大観察所見はType I:0例,II:0例,III:2例,IIIs:3例,IV:4例.褪色調隆起性病変の中でも陥凹を有するIIa+IIcのような病変とはNBI所見等で類似点を認めた.【結論】当院提唱のNBI Type分類が褪色調陥凹性病変の良悪性鑑別にも有用である可能性が示唆された.