2012 年 54 巻 1 号 p. 24-32
症例1は74歳男性.胃穹隆部前壁に粘膜下腫瘤を認めた.症例2は61歳女性.胃体上部前壁に亜有茎性の粘膜下腫瘍様病変を認めた.両症例ともEUSで,第3層に多房性無エコー域を認め,胃Hamartomatous inverted polyp(HIP)と術前診断した.内視鏡的切除にて,粘膜下層に嚢胞状に拡張した腺管群と線維筋成分の増生を認め,いずれも胃のHIPと診断した.胃のHIPは稀な病変で診断が難しいが,EUSはその術前診断に非常に有用であった.また自検例ではESDにて詳細な病理学的検討が可能となり,ESDは今後SMT typeのHIPに有用な治療法となりうると考えた.