日本消化器内視鏡学会雑誌
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ISSN-L : 0387-1207
症例
カプセル内視鏡を契機に診断された大腸動静脈奇形の1例
藤澤 貴史西川 真那上山 茂充関 保道寺西 哲也大内 佐智子
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2012 年 54 巻 2 号 p. 275-280

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抄録

患者は64歳女性で主訴は繰り返す下血である.糖尿病性腎症で透析導入となった際,肝硬変および肝細胞癌と診断された.入院8カ月前に下血が出現し,徐々に頻回となったが数回の内視鏡検査で原因不明であった.カプセル内視鏡所見では小腸に異常を認めなかったが左側横行結腸より肛門側に血液を認め,下部消化管内視鏡検査にて同部位に約1cmの拍動を有する発赤調小隆起を認めた.血管造影にて下腸間膜動脈から分岐する脾彎曲近傍の辺縁動脈と上腸間膜動脈から分岐する中結腸動脈の辺縁動脈の境界部にnidusを認め,早期静脈還流もあり,大腸動静脈奇形と診断した.TAEやクリップ止血を行ったが完全には止血不可能で手術を行った.

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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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