2012 年 54 巻 2 号 p. 281-287
症例は37歳の男性.前医で重症急性膵炎を加療された後,感染性膵周囲膿瘍の治療目的で当院へ搬送された.感染性膵周囲膿瘍に対して経皮的ドレナージ,経胃的ドレナージにより約2年の経過で改善が得られたものの,経過中(膵炎発症426日目),重症急性膵炎の影響による胆道狭窄で黄疸が生じた.しかし,末梢胆管拡張は乏しく炎症による十二指腸狭窄も併発し,経皮経肝胆道ドレナージ術(PTBD)も内視鏡的経乳頭胆道ドレナージ術(EBD)も困難なため,超音波内視鏡下胆道ドレナージ(ESBD)を施行した.膵炎発症874日目,炎症消失に伴い,ステント抜去が可能となった.今後ESBDのさらなる適応拡大の可能性が示唆された.