日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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症例
内視鏡的経乳頭的膵管ステントが著効した縦隔内膵仮性嚢胞の1例
土井 俊文趙 栄済藤井 恒太宮田 正年小木曽 聖加治 順子真田 香澄高谷 宏樹益澤 明高見 史朗
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2012 年 54 巻 2 号 p. 288-295

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抄録

症例は75歳男性.主訴は呼吸困難,全身倦怠感.慢性膵炎の既往あり.血清Amylaseは483IU/Lと高値,CTで左胸水と縦隔に進展した膵嚢胞,主膵管拡張を認めた.胸水はAmylaseが5,580IU/Lと高値で,胸腔穿刺ドレナージにより減少した.約6週間の保存的加療で嚢胞は縮小せず,経乳頭的に5Fr×12cm膵管ステントを挿入した.約4カ月後のMRCPで嚢胞は消失し,約6カ月後にステントを抜去した.その後の経過観察で再発は認めていない.保存的治療抵抗性の縦隔内膵仮性嚢胞が,内視鏡的経乳頭的ドレナージのみで消失し膵管ステント抜去が可能となった本邦報告例はなく,文献的考察を加え報告する.

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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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