抄録
症例は62歳,女性.1998年に健診目的の上部消化管内視鏡検査にて胃粘膜下腫瘤を指摘された.2009年に施行された上部消化管透視検査にて増大傾向にあったため,当院紹介受診.胃角部小彎前壁に表面平滑で,立ち上がりが急峻な30mm大の胃粘膜下腫瘍を認めた.通常光観察および超音波内視鏡検査にて,粘膜下層に存在する胃脂肪腫を疑ったが,発見時より増大傾向を示すことから完全に悪性を除外することができないため,診断的治療目的に,胃粘膜下層剥離術(以下,ESD)を施行した.ESDにより腫瘍は一括切除でき,病理では悪性所見を認めなかった.増大傾向を示す粘膜下腫瘍に対しESDを施行し,胃脂肪腫と確定診断し得た.