抄録
症例は60歳代男性.上部消化管内視鏡にて,十二指腸水平部に,頂部に溝状の陥凹を有する15mm大の隆起を認め,生検にて高分化型腺癌を認めた.球部から下行部にかけては発赤調で十二指腸炎の所見が目立ち,複数の隆起を認め,生検にて胃粘膜組織を認めた.水平部の病変は内視鏡的切除可能と考えられたためEMRを施行したところ,切除標本の病理所見にて,粘膜内にとどまる腺癌と,これに連続する異所性胃粘膜の所見を認めた.本症例の病変は,内視鏡および病理所見から異所性胃粘膜を背景とする十二指腸癌であると考えられた.水平部の異所性胃粘膜由来の十二指腸癌は稀と思われるので,若干の文献的考察を加えて報告する.