日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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ISSN-L : 0387-1207
症例
膵癌による主膵管狭窄に伴い発生した膵性腹水に対し,内視鏡的膵管ステント留置が著効した1例
牧谷 光晴白子 順子下地 圭一今井 奨杉山 智彦小原 巧輝
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2013 年 55 巻 12 号 p. 3788-3794

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抄録
症例は61歳,男性.発熱および腹部膨満を主訴に入院し,腹部CTにて多量の腹水と膵鉤部に腫瘍性病変を認めた.腹水中のアミラーゼ高値より,膵性腹水が疑われた.保存的加療で腹水は消失せず,EUSで膵鉤部に18mmの腫瘍を認め,FNAで膵癌と診断された.ERCPでは腫瘍が主膵管を狭窄し,尾部に仮性嚢胞が形成され,腹腔内へ穿破している所見を認めた.ENPDおよび膵管ステント留置にて膵性腹水は消失した.癌に伴う腹水の多くは,癌性腹膜炎や低アルブミンによるものであるが,本症例のように膵癌には稀に膵性腹水を生じる可能性があり,その場合には,内視鏡治療が有用と思われた.
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© 2013 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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