日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
資料
胃粘膜の炎症とその活動性に関する内視鏡診断
野村 幸世寺尾 秀一足立 経一加藤 隆弘井田 和徳渡辺 英伸新保 卓郎慢性胃炎の内視鏡診断確立のための研究会
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 56 巻 11 号 p. 3827-3837

詳細
抄録
胃炎は胃粘膜萎縮,胃癌の発生母地であり,重要な病態である.シドニーシステムは胃炎の組織学的診断には汎用されている分類であるが,組織学的診断と内視鏡的所見との間に対応があるわけではない.胃粘膜の内視鏡的所見と炎症とその活動性の診断との関係を確立することが本試験の目的である.24施設による前向き試験を行い,270名の患者に対し上部消化管内視鏡を施行し,15の内視鏡的所見について評価した.生検は胃粘膜の5カ所から行い,単核球浸潤,多形核白血球浸潤に関し,1人の病理医が評価した.各内視鏡所見の組織学的所見に対する感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,Receiver Operating Characteristics Curve(受信者操作特性曲線)下方面積(AUC/ROC)を計算した.単核球浸潤に対しても,多形核白血球浸潤に対しても,非常によく相関する単一の内視鏡的所見というものはなかった.体部においては,インジゴカーミンを用いた胃小区浮腫とregular arrangement of collecting venules(集合細静脈が規則的に配列する像)(RAC)の欠損との組み合わせが単核球浸潤に対してAUC/ROC 0.887ともっともよい相関を示した.多形核白血球浸潤に対してはインジゴカーミンを用いた胃小区浮腫とびまん性発赤の組み合わせのAUC/ROCが0.851と最もよかった.前庭部では,びまん性発赤と血管透見との組み合わせが単核球浸潤に対してAUC/ROC 0.780であり,血管透見とインジゴカーミンを用いた胃小区浮腫との組み合わせが多形核白血球浸潤に対してAUC/ROC 0.795と最も高値を示した.胃粘膜の炎症に対しては,内視鏡的所見の組み合わせが正診率と感度をあげると思われた.
著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top