2014 年 56 巻 4 号 p. 1527-1531
症例は73歳の男性で,あら汁を摂取した際に魚骨を飲み込み,以降つかえ感が持続し,症状が改善せず3日後に当院を受診した.胸部CT上食道内に高吸収域を認め,魚骨と判断した.穿孔を疑わせる所見はなく,上部消化管内視鏡を施行し,食道壁に扁平な魚骨の辺縁が刺入していたことを確認した.CTで骨の形状は概ね把握できていたため,内視鏡的に摘出することができた.刺入部は潰瘍を形成していたが,明らかな穿孔はないと判断し,その後は保存的治療にて軽快した.食道壁に刺入した魚骨に対しては,事前にCTを行ってその形状を確認し,可能であれば内視鏡的に摘出することが望ましいと考える.