日本消化器内視鏡学会雑誌
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原著
ERCP後膵炎の重症化のリスク因子に関する前向きコホート研究-重症化に発症のリスク因子は関与するか?-
明石 隆吉清住 雄昭上田 城久朗生田 千尋山崎 明中原 和之山之内 健伯陣内 克紀田村 文雄浜田 知久馬
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2014 年 56 巻 9 号 p. 3324-3332

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抄録

【背景・目的】ERCP後膵炎(PEP)は最も対処に苦慮する内視鏡関連偶発症である.今回,当院におけるPEP発症例をもとに,PEP発症のリスク因子がPEPの重症化に関与するかを検討した.【対象・方法】ERCP関連手技2,089例に発症したPEPの前向きデータを統計学的に解析した.【結果】単変量解析ではPEP発症のリスク因子として手技15因子に有意な相関を認めたが,多変量解析ではカニュレーション時間のみが有意なリスク因子であった.カニュレーション時間に関するPEP発症の予測確率は,カットオフ値21分で確率3%であった.PEP発症のリスク因子が重症化に関与するかの検討では,厚生労働省重症度スコアと性,体重,BMI,ESTの既往の患者4因子に相関を認めた.【結論】PEPの発症とその重症化には異なったリスク因子が関与している.ERCP施行時には発症のリスク因子であるカニュレーション時間に注意を要する.PEP発症例に重症化のリスク因子である男性,肥満(体重・BMI)およびESTの既往のいずれかの因子を認めた場合には重症化に注意する.

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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