日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
EUS-FNAが診断に有用であった原発性肺癌に合併した同時性多発浸潤性膵管癌の1例
岡野 尚弘大島 忠熊谷 純一郎高橋 正憲鎮西 亮塩屋 雄史笹島 圭太東海林 琢男安達 章子甲嶋 洋平
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2014 年 56 巻 9 号 p. 3352-3357

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抄録

症例は肺腺癌と診断された68歳男性.転移検索のための精査で膵頭部と膵体部に腫瘍を認めたため,膵管癌,肺癌膵転移を考えERCP,EUSを施行した.しかし診断はつかず,EUS-FNAを施行した.組織像でadenocarcinomaが同定されたが,原発巣,転移巣の診断はできず,thyroid transcription factor-1(TTF-1)による免疫染色を追加した.TTF-1が肺腺癌で陽性,各膵腫瘍でいずれも陰性となり,原発性肺癌,同時性多発浸潤性膵管癌の診断に至った.膵全摘術,2期的胸腔鏡補助下右上葉切除術を施行し,切除標本でも同様の診断となった.肺癌と膵癌の重複癌を術前に診断しえた貴重な症例であり,さらに膵癌が多発している稀な症例であった.

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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