2015 年 57 巻 1 号 p. 15-20
症例は61歳女性.関節リウマチにて当院通院中に発熱,下腹部痛あり,精査目的に腹部CTを施行し,上行結腸から横行結腸に著明な浮腫性の壁肥厚を認め,下部消化管内視鏡検査では上行結腸から横行結腸右側にかけて亜全周性に粘膜の浮腫と区域性のある浅い多発潰瘍を認めた.入院時の血液培養よりBrachyspira pilosicoli(B.pilosicoli)が検出され,腸管からのbacterial translocationによりB.pilosicoli敗血症を来したと考えられた.B.pilosicoli感染は非常に稀であるが,本症例の様な免疫低下患者においては日和見感染の一つとして考慮すべきであると考えられた.