日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
放射線性十二指腸炎の難治性出血に対してオクトレオチドが有用であった1例
西田 淳史塩谷 淳大原 真理子長谷川 大大崎 理英伴 宏充西村 貴士稲富 理馬場 重樹安藤 朗
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2015 年 57 巻 1 号 p. 30-37

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抄録

症例は70歳女性.胆管細胞癌術後のリンパ節再発に対して化学治療を施行され,経過観察中に膵鉤部近傍のリンパ節に再発が認められたため,放射線治療が施行された.リンパ節再発に対しては治療効果が認められたが,放射線治療の終了後,約4カ月で放射線治療に伴う出血性十二指腸炎を併発した.アルゴンプラズマ凝固法による治療を5回施行したが,内視鏡治療のみによる出血のコントロールが困難であると判断したため,ソマトスタチンアナログであるオクトレオチドの併用投与を行った.オクトレオチドは,用量300μg/日で持続的に皮下投与した.オクトレオチド併用後より,黒色便の回数が減少し,貧血の進行も止まり,さらに,オクトレオチド投与後から退院までにアルゴンプラズマ凝固法による治療を3回追加するにとどまった.アルゴンプラズマ凝固法による出血コントロールが困難な放射線性十二指腸炎に対してオクトレオチドの併用が有用であった1例を経験したので報告する.

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© 2015 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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