2015 年 57 巻 1 号 p. 38-45
症例は72歳男性.胆道感染を契機に肝膿瘍を発症し入院.第1病日にERCPを施行し多発胆管結石を認め5Fr経鼻胆管ドレナージチューブを留置した.第6病日の腹部MRI T2強調像で肝外側区の肝膿瘍は増大し,肝表面に腹水貯留を認めた.呼吸状態は進行性に悪化し,第7病日より持続陽圧換気を開始した.肝膿瘍の治療が急務であったが経皮ルートは多量腹水のため穿刺困難であり,第13病日にEUS下肝膿瘍穿刺を施行し7Fr経鼻肝膿瘍ドレナージチューブを留置した.呼吸状態は改善し,第40病日のMRIで著明な膿瘍縮小を確認した.EUSによる経消化管的肝膿瘍ドレナージが奏功した貴重な症例と考え報告する.