抄録
症例は57歳女性.7年前に胃癌に対しESDが施行され,H.pylori除菌後,経過観察中であった.5年前の上部内視鏡検査において,胃体下部大彎前壁に3mmの白色粘膜領域が確認されたが,4年前の鉗子生検では確定診断に至らなかった.3カ月前の上部内視鏡検査での鉗子生検において,胃底腺型胃癌を疑われESDが施行された.病変の病理組織診断は胃粘膜内に限局する胃底腺型胃癌と診断された.免疫組織化学的検討ではペプシノーゲンIが部分的に弱陽性,MUC6がびまん性陽性で,Ki67 indexは3%以下であった.本疾患は近年定義された新しい疾患概念であり,微小病変を長期に観察し得た本症例は稀と考えここに報告する.