日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
魚卵様の特異な内視鏡像を呈したサイトメガロウイルス腸炎の1例
板倉 由幸内田 靖山本 悦孝原田 恵理奈花岡 拓哉千貫 大介串山 義則香川 幸司
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2016 年 58 巻 1 号 p. 20-25

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抄録
症例は68歳男性.主訴は発熱,下痢.血液検査で炎症反応上昇を,腹部CTで直腸壁肥厚と周囲脂肪織の炎症所見を認め,感染性腸炎として加療を開始するも改善せず.大腸内視鏡検査を施行したところ,上部直腸に限局する全周性の潰瘍を認めた.潰瘍底は小粒状の隆起によって「魚卵様」の所見を呈していた.潰瘍部位の生検組織から封入体像が認められ,免疫染色やサイトメガロウイルス(CMV)抗原血症検査からCMV腸炎と診断.Valganciclovirの投与により軽快した.治療に難渋する腸炎に対し,積極的に内視鏡検査やCMV抗原血症検査を行うことはCMV腸炎の診断に有用である.またこれまで「魚卵様」の内視鏡像を呈した本症の報告はなく,貴重な症例と考え,ここに報告する.
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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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