日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
潰瘍性大腸炎の経過中に発症した腫瘍性病変を伴わない成人腸重積症の1例
氏原 正樹白井 修三浦 正博樋口 俊哉小鳥 達也
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2016 年 58 巻 1 号 p. 26-31

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抄録
症例は40歳の男性.4年前に他院で潰瘍性大腸炎を指摘されたが無治療にて放置.1週間前から下痢と少量の粘血便を自覚し,下腹部痛も生じてきたため当院救急外来を受診.腹部造影CT検査では上行結腸に同心円状構造を認め腸重積と診断した.原因検索と整復を行う目的で大腸内視鏡検査を施行した.内視鏡下のガストログラフィン造影では蟹爪様の陰影欠損像を認め,重積部に先進する腫瘍性病変は認められず,内視鏡的に整復を行った.約2カ月後の内視鏡所見でも回腸末端部には腫瘍性病変は認められず,盲腸・上行結腸に潰瘍性大腸炎によるごく軽度の炎症所見を認めるのみであった.成人の潰瘍性大腸炎患者に腫瘍性病変を伴わない腸重積が発症した稀な症例を経験した.
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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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