2016 年 58 巻 10 号 p. 2182-2190
門脈ガス血症(HPVG)と腸管気腫症(PCI)とを呈した黄色ブドウ球菌腸炎の1例を経験した.症例は40歳,男性.主訴は血便,腹痛,発熱.31歳時に潰瘍性大腸炎(UC)と診断され,寛解を維持していた.初診時にHPVG・PCIを呈し,大腸内視鏡検査で直腸~S状結腸に多発性の縦走潰瘍を認めた.UC再燃との鑑別を要したが,便培養で黄色ブドウ球菌が検出され,抗生物質の投与で症状は改善した.
UCを背景に感染性腸炎に罹患した場合は,粘膜の脆弱性のためHPVG・PCIを発症する可能性がある.