2016 年 58 巻 12 号 p. 2399-2404
症例は84歳,女性.2年前から骨粗鬆症に対してミノドロン酸を内服していた.胸部不快感,胸部つかえ感の精査目的に上部消化管内視鏡検査を施行したところ,中部食道に憩室を認め,憩室下縁および,その肛門側に潰瘍を認めた.臨床経過および内視鏡所見よりミノドロン酸による食道潰瘍と考え,ランソプラゾール,アルギン酸ナトリウム内服で治療したところ改善し,現在まで再発を認めていない.ビスホスホネート製剤による食道潰瘍の報告は散見されるが,ミノドロン酸によるもの,食道憩室が関与した報告例はなく,貴重な症例と考えられた.