抄録
症例は62歳の男性.2010年8月に膵頭部膵管内乳頭粘液性腫瘍に対し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,Child変法再建術を施行した.術後4年目に食後の心窩部痛を認め,当科を受診した.血液生化学検査でアミラーゼ値,リパーゼ値の上昇を認めた.また造影CT検査で残膵の腫大と周囲の脂肪織混濁を認め,急性膵炎(CT Grade1)の診断で緊急入院となった.その際,残膵主膵管内に膵石を認め,さらに手術時に膵空腸吻合部に留置した脱落型膵管チューブが残膵尾側膵管深部に迷入していた.これらに対しショートタイプのダブルバルーン内視鏡を使用し治療を試みた.膵管空腸吻合部の狭窄は認めず,拡張術は行わなかった.バスケット鉗子を用いて膵石の除去ならびにチューブ摘出を完遂しえた.ダブルバルーン内視鏡下での膵石除去と迷入チューブ摘出を同時に完遂できた症例は本邦で初めてであり,文献的考察を加えて報告する.