日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
背景粘膜にECL細胞過形成を伴ったH. pylori陽性TypeIIINETの1例
遠藤 智広柳本 邦雄細川 治渡邊 透佐藤 広隆高井 佑輔百々 秀彰伊藤 錬磨
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2016 年 58 巻 8 号 p. 1324-1330

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抄録

57歳女性.胃体中部大弯の隆起性病変からの内視鏡生検でNETと診断.萎縮性胃炎を伴い,孤発性であり,抗胃壁細胞抗体と抗内因子抗体が陰性のためTypeINETは否定的だが,血清ガストリン値が740pg/mlと高値を示した.腹腔鏡・内視鏡合同手術を行い,病理検査でNET G2(Ki-67 6.4%)と診断した.周囲粘膜にECL細胞過形成を認めたが,内分泌細胞微小胞巣(ECM)への進展はなく,ガストリン値上昇に伴う変化と考え,TypeIIINETと診断した.腫瘍はガストリン染色陰性であり,除菌治療後の血清ガストリン値は低下した.TypeIIINETでも血清ガストリン値上昇,ECL細胞過形成を伴う場合があり,鑑別診断と治療選択の上で重要と考える.

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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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