【背景・目的】右側結腸に限局する虚血性腸病変を虚血性右側結腸炎と定義し,その臨床像と内視鏡所見の特徴を明らかにし,虚血性大腸炎と比較する.【方法】最近の11年間に経験した虚血性右側結腸炎7例を対象とした.病型は一過性型1例,狭窄型5例,壊死型1例であった.臨床像,腹部CT像,内視鏡像などについて検討した.【結果】虚血性右側結腸炎は,高齢男性に多く,基礎疾患では血管側因子を持つものが多くみられ,臨床症状は腹痛が主で血便や下痢は比較的少なかった.腹部CT像では著明な腸壁肥厚がみられた.非壊死型の内視鏡像は特徴的であり,輪状~帯状潰瘍であった.潰瘍は,腸間膜対側で幅が広く深い傾向がみられ,それに続いて腸間膜側に向かい浅く狭い潰瘍がみられ,全体として輪状傾向あるいは帯状傾向を呈していた.【結論】虚血性右側結腸炎は,虚血性大腸炎とは臨床像と内視鏡像が異なっており,病態が異なるものと推察された.