2017 年 59 巻 10 号 p. 2489-2499
消化管出血の約5%が上下部消化管内視鏡検査を行っても原因不明の消化管出血である.カプセル内視鏡検査やバルーン内視鏡検査,放射線画像診断の進歩により,小腸出血の出血源が診断できるようになっており,血管性病変,潰瘍性病変,腫瘍性病変など様々な病変が見つかる.さらに小腸出血に対し内視鏡的止血治療も可能であり,主に血管性病変に対しアルゴンプラズマやクリッピングなどの治療が有効である.しかし,内視鏡治療を行っても再出血率が高く,治療法の改善や再出血のリスク因子に対する介入が必要である.