2017 年 59 巻 2 号 p. 155-170
膵炎後の局所合併症(主にwalled-off necrosis)に対して,感染例や有症状例は侵襲的治療が必要となる.近年,こうした局所合併症に対するEUSガイド下ドレナージと内視鏡的ネクロセクトミーによる低侵襲な経消化管的治療が開発され,普及してきている.さらに,専用の大口径メタルステントを用いた治療や追加内視鏡ドレナージテクニックにより,多くは内視鏡治療単独で治癒可能となってきた.しかし手技に伴う重篤な偶発症も報告されており,内視鏡治療に固執することなく,経皮的アプローチや外科手術も考慮した広い視野での治療戦略が必要である.本稿では,膵炎後局所合併症に対する内視鏡治療の現状について概説する.