2017 年 59 巻 3 号 p. 291-295
症例は71歳男性.他院で2004年に十二指腸乳頭部癌に対して経十二指腸的乳頭形成術を施行された.2014年10月に発熱,嘔気を主訴に当院を受診し,腹部CT検査で総胆管結石を認め,閉塞性黄疸・胆管炎の診断で入院となった.ERCP所見では,乳頭形成術後の胆管口はpin hole状に狭窄していた.内視鏡的乳頭括約筋切開を行い,さらにEndoscopic papillary large balloon dilation(以下EPLBD)を施行した後,結石をバスケット鉗子で摘出した.治療後に胆管炎を併発したが,保存的治療で軽快し退院となった.以後再燃なく経過している.乳頭切除後の総胆管結石に対して内視鏡治療を施行した症例は稀であり,文献的考察を加え報告する.