日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
総説
表在型食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後の狭窄予防法の現状と今後の展望
引地 拓人 渡辺 晃中村 純菊地 眸橋本 陽大平 弘正小原 勝敏
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2018 年 60 巻 10 号 p. 2259-2274

詳細
抄録

内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)の普及により,広範な食道癌でも内視鏡的切除が可能になった.一方,切除後の粘膜欠損周在性が3/4周を超えた場合には食道ESD後狭窄のリスクが高いことが明らかになってきた.食道ESD後狭窄予防法として,予防的バルーン拡張術やステロイド治療が行われている中で,現在はステロイド局注療法とステロイド経口投与が主流となっている.しかし,その優越性と安全性は明らかではなく,現在,日本臨床腫瘍研究グループにおいて,両者のランダム化比較第Ⅲ相試験が行われている.ただし,本試験は全周性の病変は対象としておらず,全周性ESDでは,他の治療法を併用するなど新たな予防策が必要と思われる.また,ポリグルコール酸シートなどの組織遮蔽法や再生医療としての自己口腔粘膜上皮シート移植の新たな展開と普及にも期待をしたい.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top