2018 年 60 巻 8 号 p. 1472-1478
62歳男性.肝機能異常で当院を受診し,心臓超音波検査で心タンポナーデを認めた.心嚢ドレナージ術を行ったところ,心嚢液から扁平上皮癌細胞を認めた.原発巣の検索では,上部消化管内視鏡で胸部中部食道に粘膜内癌,胸部下部食道に粘膜下層癌を疑う病変を認めた.生検にて両病変からも扁平上皮癌を認めたため,癌性心膜炎を併発した多発食道表在癌(cT1bN0M1 cStage Ⅳb)と診断した.化学療法を施行したところ,胸部中部食道病変のみ残存を認め,その他の病変はすべて消失した.追加治療として残存病変に対してESDを行い,治癒切除が得られた.ESD後は追加治療を行っていないが,10カ月再発を認めていない.