2018 年 60 巻 9 号 p. 1591-1597
骨盤内膿瘍に対するEUSガイド下経直腸的ドレナージは欧米での有用性や安全性の報告は多いが,本邦からの報告は少ない.われわれは同手技にて治療した骨盤内膿瘍の2症例を経験したので報告する.症例1は42歳女性.壊疽性虫垂炎術後に骨盤内膿瘍に対し,ダグラス窩穿刺で改善なく,経直腸的ドレナージを施行した.直腸から超音波内視鏡ガイド下で膿瘍を穿刺し,外瘻チューブを留置し,膿瘍の改善を認めた.症例2は84歳女性.特発性直腸穿孔術後に骨盤内膿瘍に対し,症例1と同じ方法で膿瘍の改善を認めた.2症例共に外瘻チューブは1週間で抜去し,合併症や再燃はなかった.同手技が,骨盤内膿瘍の治療に有効である可能性が示唆された.