症例は78歳女性,嘔気・嘔吐を主訴に当院を受診し,総胆管結石による閉塞性胆管炎と診断された.内視鏡的乳頭括約筋切開術後総胆管結石採石術の際に,十二指腸下行部の穿孔を来した.内視鏡下にクリップ閉鎖を試み,7本のクリップで粘膜面に閉鎖に成功し,減圧・絶飲食・抗菌薬加療にて保存的加療が可能であった.ERCP関連の十二指腸穿孔に対して,内視鏡下クリップ閉鎖術を行った本法報告は少ない.しかし,患者の状態や技術面などの条件を満たせば侵襲の大きな外科的手術を回避出来る可能性がある.偶発症への対処法として自験例を共有する意義は深いと考え,文献的考察を加えて報告する.