2019 年 61 巻 10 号 p. 2372-2378
症例は79歳男性.高度貧血を主訴に近医を受診し小腸腫瘍が疑われたため当院紹介となった.造影CT,PET-CTで空腸に腫瘤性病変を認めたため,経口シングルバルーン小腸内視鏡検査と小腸カプセル内視鏡検査を行った.2型病変を空腸に認める以外に十二指腸水平部にも0-Ⅱc病変を認め,いずれの病変も腺癌の病理結果であった.リスク因子となる炎症性腸疾患や遺伝性疾患(FAP,Lynch syndrome,Peutz-Jeghers syndrome)を認めない,非常に稀な原発性同時多発小腸癌を経験したため報告をする.