2019 年 61 巻 10 号 p. 2360-2365
症例は72歳男性.食道癌ESD後の経過観察中に,穹窿部後壁に8mm大の扁平な粘膜隆起性病変を認め,生検ではGroup1であった.半年後の再検時には15mm大と増大し粘膜下腫瘍様の形態となり,生検で胃癌(pap)と診断した.EUSでは粘膜下層に点状の高エコー域があるため,胃癌の粘膜下層浸潤が疑われたが,反応性変化の可能性があることと,患者の希望を考慮してESDを施行した.病理組織で,異所性胃腺の腫瘍への移行像と腫瘍内に石灰化像がみられたため,石灰化を伴う異所性胃腺由来癌と考えた.粘膜下腫瘍様の形態で特異なEUS像を呈した異所性胃腺由来胃癌を経験したので報告する.