2020 年 62 巻 1 号 p. 53-58
症例は83歳,男性.以前より完全内臓逆位を指摘されていた.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部前壁に20mmの0-Ⅱc型早期胃癌,前庭部大彎に15mmの0-Ⅱc型早期胃癌,10mmの0-Ⅱa型早期胃癌を認めた.初回の内視鏡検査は左側臥位で行ったところ,前庭部に空気が溜まらず,体部に空気が流れ過送気となり噴門部小彎に粘膜裂傷が生じた.精査時,右側臥位にすることで,前庭部に空気が溜まり詳細観察が可能となった.ESD施行時は,患者の体位を右側臥位とし,術者および機器の位置を通常と反対側にすることで通常のESDと同様の動きで処置が可能であった.完全内臓逆位の前庭部病変の観察およびESDは患者体位,術者と機器の位置を工夫することで平易となった.