2020 年 62 巻 1 号 p. 7-14
Cold polypectomyは,偶発症の少なさや手技時間の短さに加え,コストの面においても従来の通電を行うポリペクトミー(Hot polypectomy)に対して優れており,欧米はもとより国内でも徐々に普及しつつある.手技やデバイスの進歩により,Cold polypectomyの治療成績や安全性は向上しており,最近では抗血栓薬内服症例に対する安全性も報告されている.一方で,本法には病変の病理組織学的な断端評価が困難となることや,切除深度が浅くなりやすいというデメリットがあり,遺残再発率や長期予後が十分に明らかになっていないという問題点もある.こうした問題点を十分に把握したうえで,適切な病変に対してCold polypectomyを行っていくべきである.現在の本邦におけるガイドラインでは,Hot polypectomyの偶発症発生率を基に,5mm以下の病変に対する摘除は推奨されていないが,Cold polypectomyを用いることで,今後欧米のように腺腫性病変は大きさに関係なく摘除することが推奨されるようになるかもしれない.