2020 年 62 巻 12 号 p. 3064-3071
症例は10カ月男児,胆道閉鎖症にて葛西手術後経過観察中に下血を認め,緊急内視鏡を施行した.食道静脈瘤からの出血を認めたため内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を試みたが,食道入口部が狭いためにEVLデバイスが通過せず,内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)により止血を得た.その後,残存した静脈瘤に対し反復的に血管内外EISを施行した.血管外EIS後に食道潰瘍に伴う浮腫性狭窄が生じ,経口摂取不良を認めた.経腸栄養剤による栄養療法の併用を要したが保存的に軽快し,最終的に静脈瘤の退縮が得られた.乳幼児の食道胃静脈瘤に対する血管内外EISは有効な治療法であるが,術後の狭窄には十分に注意する必要がある.