2020 年 62 巻 12 号 p. 3072-3078
症例は82歳男性.膀胱小細胞癌に対して化学放射線療法を施行された.8カ月後,黄疸と食思不振を主訴に受診した.血液生化学検査で閉塞性パターンの黄疸と肝胆道系酵素の上昇があり,画像検査では膵頭部に腫瘍を認めた.超音波内視鏡下穿刺術(EUS-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)を施行し,組織学的に膀胱小細胞癌の膵転移と診断した.化学療法を施行したが効果なく,治療後2カ月で永眠された.転移性膵腫瘍は稀な疾患であり,原発巣としては腎癌が最も多い.今回,膀胱小細胞癌の膵転移という稀な症例を経験したので報告する.