2020 年 62 巻 3 号 p. 338-344
症例は76歳女性で,吐血・黒色便を主訴に入院となった.オスラー病にて当院外来通院中であった.胃毛細血管拡張部より頻回にoozingを認め,輸血療法や内視鏡的止血術(高周波止血鉗子法・アルゴンプラズマ凝固など)を繰り返されていた.潰瘍瘢痕形成による胃毛細血管拡張の消失と処置時間の短縮を期待して内視鏡的バンド結紮術(endscopic band ligation:EBL)を施行した.EBLによる潰瘍瘢痕形成が得られた部分には胃毛細血管拡張の再発が消失した.オスラー病の胃毛細血管拡張に対するEBL治療は有用な治療法と考えられた.