2020 年 62 巻 3 号 p. 345-350
症例は79歳,男性.血便,意識障害で当院緊急入院,出血性ショックの診断で下部消化管内視鏡検査を施行した.上行結腸に腫瘤性病変を認め同部位より出血を認めた.診断,止血治療目的に内視鏡的粘膜切除術(以下EMR)を施行したところ,病理学組織学的所見でmixed adenoneuroendocrine carcinoma(以下MANEC)と診断された.腫瘍は固有筋層まで浸潤しており追加切除で腹腔鏡下回盲部切除術(D3郭清)を施行した.(pT2 pN1 M0 stageⅢa)の診断で,術後補助化学療法としてXELOXを8コース施行,術後無再発で経過観察中である.大腸MANECは早期にリンパ節転移,遠隔転移を認めるなど予後不良な疾患で,集学的治療に抵抗性があるとされている.今回出血を契機に発見された大腸MANECの1例を報告する.