2020 年 62 巻 4 号 p. 476-483
症例は69歳男性.前庭部大彎の胃腺腫に対して内視鏡的粘膜下層剝離術(以下ESD)を施行した.病理結果はtubular adenomaであり,病理組織学的に治癒切除であった.ESD時に認めたH. pylori感染は経過の中で自然除菌されたものの,ESD瘢痕部に過形成性ポリープが発生し,1年後に40mm大,3年後に50mm大へと増大傾向を示したため同腫瘍をESDにて切除した.しかし同部位に過形成性ポリープの再発を認め,悪性疾患が否定できないため再度ESDを行うとともに,再発予防のためにトリアムシノロンアセトニド80mgの局注療法を施行した.その後は1年8カ月の経過観察で再発は認めず,胃ESD後瘢痕部に生じる過形成性ポリープに対して,ステロイド局注療法が有用である可能性が示唆された.