日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
総説
膵疾患に対する造影EUS
祖父尼 淳
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2020 年 62 巻 6 号 p. 659-683

詳細
抄録

膵疾患の診療において特に重要な役割を担っているのが,超音波内視鏡(Endoscopic Ultrasonography;EUS)である.近年,EUSスコープや超音波診断機器の開発・進歩によって,膵疾患に対し存在診断のみならず質的診断が行われるようになってきた.カラードプラやパワードプラ法,超音波造影剤や超音波造影法の登場により,診断困難な膵疾患に対する診療は新たな展開を迎えている.本稿では膵疾患に対する造影EUS (Contrast-enhanced endoscopic ultrasonography:CE-EUS)についてその役割と有用性について,EUS機器の開発とその進歩も含めて報告した.

CE-EUSの適応は,膵充実性腫瘍や膵嚢胞性病変の鑑別診断,その中でも特に腫瘍性嚢胞内の結節か粘液塊かの鑑別,さらには膵悪性腫瘍の病期診断,主に血管浸潤の評価である.膵疾患のEUS診断において,超音波造影剤を用いた血流情報を加味する(CE-EUS)ことにより質的診断が可能となり,診断精度が向上する(感度のみならず特異度の上昇).これらの報告は多数あり,その有用性が蓄積されている.膵充実性腫瘤,特に膵癌のCE-EUS鑑別診断における2つのメタ解析では,感度93-94%,特異度88-89%と報告され,膵癌診療ガイドライン2019においてもその有用性が記載されている.膵嚢胞性病変,特に腫瘍性嚢胞におけるCE-EUS診断では,壁在結節と粘液塊の鑑別において感度100%および特異度80-97%と報告されている.またIPMNの悪性か良性かの鑑別診断では,壁在結節のサイズや結節/膵実質の染影比分析,壁在結節の形態と血管分布パターン分析が有用であると報告されている.このように膵疾患に対しCE-EUSを施行することで,これまで以上に迅速かつ正確な診断が期待できる.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top