日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
症例
内視鏡的バルーン拡張術が有効であったと示唆される十二指腸狭窄を合併した後腹膜血腫の1例
武藤 豊 小泉 一也増田 作栄木村 かれん西野 敬祥田澤 智彦田﨑 潤一市田 親正佐々木 亜希子賀古 眞
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 63 巻 4 号 p. 407-414

詳細
抄録

症例は62歳男性.嘔吐を主訴に当院救急外来を受診した.腹部造影CT検査と上部消化管内視鏡検査にて後腹膜領域に6cm大の腫瘤性病変とそれに伴う十二指腸狭窄を認めた.十二指腸狭窄を合併した後腹膜血腫と診断し,保存的治療を開始した.後日の造影CT検査で後下膵十二指腸動脈の仮性瘤が疑われたが,血腫の増大はなく保存的加療を継続した.第21病日に血腫はわずかに縮小していたが,十二指腸狭窄が残存していたため内視鏡的バルーン拡張術を施行し,経口摂取を開始した後は経過良好で第34病日に軽快退院した.後腹膜血腫による十二指腸狭窄はまれな病態であり診断に難渋することも多いが,本例においては画像所見にて診断可能であった.保存的に改善しない例の多くは手術が選択されているが,本例においては内視鏡的バルーン拡張術が奏効し手術を回避し得た.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top