2021 年 63 巻 4 号 p. 423-429
症例は73歳男性.便秘・腹痛・腹部膨満感を主訴に近医受診.腹部レントゲンにてS状結腸軸捻転症の疑いで当院紹介受診となる.来院時の診察・採血・画像所見にて腸管壊死・穿孔の所見がないことを確認し,内視鏡的整復術を選択した.大腸スコープを絞扼部より深部のS状結腸ループ内に進め脱気した.次に下行結腸へ進めたが,多量の便で視野不良となるため送気を要し,ガスがS状結腸ループ内に再度貯留し整復が困難だった.そこで脱気用に2本目のスコープを挿入し,ループ内の脱気を行ったところ整復し得た.今回,2本の内視鏡を挿入することで内視鏡的整復術をなし得たS状結腸軸捻転症の1例を経験したので報告する.