2021 年 63 巻 6 号 p. 1241-1247
症例は34歳,女性.心窩部痛と胃もたれ症状に対して上部消化管内視鏡検査を施行され,胃体部を中心に広範囲の結節・扁平状隆起と萎縮粘膜を認めたが確定診断に至らず,ピロリ菌除菌療法やPPI投与等で経過観察されていた.5年後症状増悪時の内視鏡検査で同様の所見を認め,扁平状隆起からの生検でcollagenous gastritisの診断に至った.2年半PPI等で治療を行ったが症状改善を認めず,また鉄欠乏性貧血の進行を認めたため,ステロイドパルス療法を施行した.同療法後,臨床症状は速やかに改善し,ステロイド治療終了後5年7カ月後には組織学的にもcollagen bandの消失を確認した.Collagenous gastritisは本邦での頻度は少ないが,その特徴的な内視鏡像を知っておくべきと考えられた.