抄録
炭酸含有アパタイト焼結体は生体親和性に富むことから、この焼結体を任意の形状に変化させ、硬組織代替材への応用を試みた。第I報では炭酸含有アパタイト焼結体は高温下で適度な荷重を加えることで大きな塑性変形(超塑性)を発現することに着目し、超塑性の発現の有無を検討した。その結果、炭酸含有アパタイト焼結体は10MPaの荷重下で750℃前後から超塑性を示し、800℃では変形量が80%近くに達していたことが判明した. さらに、初期荷重10MPaでは塑性変形の速度が速すぎるため試料に多数の亀裂が生じていた。そこで、今回は塑性変形の速度を初期荷重によって変化させ、さらに超塑性変形後の試料の分析、組織観察を行うことで超塑性変形機構の解明を検討した。
しかしながらFig. 3に示したように、粒成長をしながら空隙が減少し、より密に充填されていることから、焼結体の物性の向上の可能性が示唆された。
これにより亀裂を生じない超塑性変形が可能となり、焼結体を実用可能な任意の形状に変形できることが示された。