2021 年 63 巻 6 号 p. 1281-1293
さらなる内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)の操作安定化を目指し,Stag Beetleナイフ(SBナイフ)(住友ベークライト社製)は世界初の内視鏡治療用ハサミ型ナイフとして,2013年に実用化された.内視鏡を大きく動かすことなく先端ブレードを開閉させて対象部分を把持し,これを視認しながら通電することで安全性を確保した切離操作が行えた.
スタンダードタイプは胃病変の粘膜下層剝離操作,ショートタイプは食道病変の粘膜下層剝離操作,JrタイプとJr2タイプは大腸ESD,GXタイプは胃ESDや腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS:Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)を,それぞれ安定化させるよう念頭に置いて設計された.
安全性を保つために細かな操作を要求される大腸ESDや食道ESD,安定した鋭利な切離が必要な潰瘍瘢痕を伴う病変のESDなどにおいて,特に有用性が高かった.また,本ナイフは切離の際に大きな内視鏡先端の動きを必要としないため,初心者にも扱いやすく,国内外におけるESDの普及にも寄与できると考えた.