日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
症例
関節リウマチの経過中に発生したリウマトイド血管炎に起因する多発大腸潰瘍の1例
藤野 泰輝 田中 久美子中村 文香喜田 慶史平尾 章博岡田 泰行武原 正典福家 慧坂東 良美高山 哲治
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 63 巻 7 号 p. 1358-1364

詳細
抄録

症例は43歳女性.リウマトイド血管炎に起因する下腿潰瘍に対し,2018年2月からステロイドを開始,同年3月に黒赤色便を認め当科受診.大腸内視鏡検査で上行結腸からS状結腸に活動性潰瘍及び瘢痕を多数認めた.横行結腸の亜全周性潰瘍のNBI拡大観察では潰瘍辺縁に微小血管を認め,生検によりリウマトイド血管炎に特徴的な病理所見が得られた.3月16日と17日に,黒赤色便を1回ずつ認めていたが,ステロイドを継続したところその後血便は認めず,2カ月後の内視鏡検査では著明に改善し,以後漸減しているが再燃は無い.リウマトイド血管炎に起因する大腸潰瘍は稀であり,病理学的に血管炎を証明することはしばしば困難である.本症例はNBI拡大観察下に微小血管を同定し生検により血管炎を証明し得た貴重な症例と考えられる.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top