2021 年 63 巻 7 号 p. 1358-1364
症例は43歳女性.リウマトイド血管炎に起因する下腿潰瘍に対し,2018年2月からステロイドを開始,同年3月に黒赤色便を認め当科受診.大腸内視鏡検査で上行結腸からS状結腸に活動性潰瘍及び瘢痕を多数認めた.横行結腸の亜全周性潰瘍のNBI拡大観察では潰瘍辺縁に微小血管を認め,生検によりリウマトイド血管炎に特徴的な病理所見が得られた.3月16日と17日に,黒赤色便を1回ずつ認めていたが,ステロイドを継続したところその後血便は認めず,2カ月後の内視鏡検査では著明に改善し,以後漸減しているが再燃は無い.リウマトイド血管炎に起因する大腸潰瘍は稀であり,病理学的に血管炎を証明することはしばしば困難である.本症例はNBI拡大観察下に微小血管を同定し生検により血管炎を証明し得た貴重な症例と考えられる.