2021 年 63 巻 7 号 p. 1371-1378
症例は60歳男性.2週間ほど続く粘血下痢便を主訴に来院.大腸内視鏡検査(CS)で,粘液の付着した地図状発赤を直腸に認めた.非特異的な腸炎として経過をみていたが4カ月後に症状が増悪した.CSの再検で,発赤はS状結腸まで広がり,直腸の発赤部は平盤状に隆起していた.隆起の形態から非典型像を呈するcap polyposis(CP)が鑑別にあがり,病理所見にも矛盾はなくCPと診断した.Helicobacter pylori菌陽性のため除菌治療を行ったところ,症状・内視鏡像は改善した.CPは病期により非典型的な内視鏡像を呈し診断に苦慮するが,形態の変化に注目することで診断が可能となることがある.